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認知症と運動療法

認知症と運動療法

認知症の治療

運動には、認知症の発症予防及び進行抑制の効果を証明する報告が多数あります。運動は「有酸素運動」と「無酸素運動」の2種類に分けられますが、特に有酸素運動に関しては、認知症予防・進行抑制への有効性が示されています。

運動療法は医学的な裏付けのある認知症予防策のひとつです。今回は運動と認知症の関係性についてご紹介します。

有酸素運動のメリット

有酸素運動とは、体内に酸素を多く取り込みながら行うもので、ウォーキング・ジョギング・エアロビクス・水泳・ダンス・自転車こぎ(サイクリング)・ヨガ・太極拳などがあります。認知症予防の観点からみると、有酸素運動には下記のような効果を期待できます。


①記憶を司る海馬の萎縮を抑制する

②インスリン抵抗性を減少させる

インスリンの働きが悪くなる「インスリン抵抗性」は、認知機能の低下や進行に重大な役割を果たしますが、その「インスリン抵抗性」を減少させます。

③ケトーシスを促進し、認知機能の低下や進行を抑止する

ケトーシスとは、肝臓が脂肪を分解し、ケトン体と呼ばれる特有の化学物質を産生するプロセスを言います。この状態は、身体の一番のエネルギー源である炭水化物が足りなくなると起こります。そして、軽いケトーシス状態が、認知機能には最適だということが明らかになっています。

④脳由来神経栄養因子(BDNF)を増やす

ニューロン(神経細胞)やシナプスを強化する化合物に脳由来神経栄養因子(BDNF:Brain Derived Neurotrophic Factor)がありますが、BDNFは運動で増やすことができます。

⑤認知力の健康に欠かせない睡眠を改善

⑥海馬損傷や認知機能低下の要因のひとつであるストレスを軽減


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運動療法の具体例:ダンス療法

ダンスは、振付を覚えたり、いろいろな動きで感情を表現するなど、楽しみながら頭を使いますし、加えて、レッスンを通してパートナーなどとコミュニケーションを図れることから、認知機能低下の予防に有効な手段と言われています。

例えば、認知症予防学会では、各種の非薬物療法の予防効果を判定するために「エビデンス創出委員会」を設置していますが、判定が「特A」と期待されているダンス療法もあります。

そして、各種認知症関連施設でも、認知症予防あるいは進行抑制のプログラムとして、ダンス療法を取り入れるところが増えてきています

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