» 認知症の種類と原因・症状の違い | ダンス医学ドットコム

認知症の種類と原因・症状の違い

認知症の種類と原因・症状の違い

認知症の予防

認知症とは、さまざまな原因から、脳の細胞が障害されて、記憶力や理解力、判断力、物事を実行する能力などの認知機能の低下が表れ、日常生活や社会生活に支障をきたしている状態のことを言います。

2025年には730万人を超える、つまり、高齢者の約5人に一人が認知症になると予測されています。

認知症の進行過程

認知症は、平均20年ほどをかけて進行すると言われています。

認知症で表れる症状

認知症で表れる症状
認知症で表れる症状には、「中核症状」と「行動・心理症状(BPSD:Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)」の2種類があります。

中核症状

下記のような誰にでも表れる症状を「中核症状」と呼びます。

  • 記憶障害(数分前や数時間前のことを忘れてしまう)
  • 見当識障害(時間や場所がわからなくなる)
  • 判断力の障害(的確な状況判断ができなくなる)
  • 問題解決能力の障害(困難に対処できない)
  • 実行機能障害(計画を立てて、段取り通りに実行することができない)
  • 先行・失語・失認(今までできていたことができない、言葉が出ない、知っているはずのことがわからない)

行動・心理症状(BPSD)

中核症状と併せて表れる下記のような症状は「行動・心理症状(BPSD)」と呼ばれています。
中核症状と違い、人によって症状が異なります。

  • せん妄
  • 幻覚
  • 妄想
  • 睡眠障害
  • 暴言・暴力
  • 多動
  • 徘徊
  • 仮性作業
  • 失禁
  • 不潔行為
  • 介護への抵抗
  • 過食

認知症のタイプとその症状

認知症のタイプとその症状
認知症は大きく4つのタイプに分けられます。タイプによって原因や症状が異なるため、まずはどのタイプに当てはまるのかを理解しておくことが大切です。

アルツハイマー型認知症

認知症の中で最も多いのがアルツハイマー型認知症で、全体の60%を占めます。

認知症の症状は、中核症状(共通)と行動・心理症状(BPSD、個人差大)に分けられますが、アルツハイマー型認知症の中核症状は、最近の記憶から失われる記憶障害や、新しいことが覚えられなくなる記憶障害が目立ちます。BPSDでは、物盗られ妄想や人格変化などの症状が起こります。

アルツハイマー型認知症では、加齢に伴い脳に「ベータアミロイド」と「タウ」という2種類のタンパク質が蓄積されることによって、神経細胞が破壊され、脳が委縮するのが発症の原因とされています。

一般的に65歳以上で発症する高齢者の病気とされていますが、30-40代の若年でも発症します。

脳血管性認知症

脳血管性認知症は、認知症の20%を占めていますが、脳卒中に関連して発症します。

脳卒中つまり脳の血管障害(脳出血・くも膜下出血・脳梗塞)の後遺症として認知症を発症しますが、歩行障害や手足の麻痺・震え・感覚障害・抑うつが特徴で、記憶障害・実行機能障害も見られます。

レビー小体型認知症

レビー小体というタンパク質の塊が脳の神経細胞内に蓄積されて、徐々に神経細胞が障害されるのが原因とされています。

レビー小体型認知症では視覚的な異常が起きやすく、特に幻視、すなわち視覚的な幻覚や視覚的な妄想が出やすいといわれています。また、手足の震えや体の動きがぎこちなくなるなど、パーキンソン病の症状も表われることがあります。

ピック病と前頭側頭型認知症

脳の前の部分である前頭葉から側頭葉にかけて脳萎縮が進行してしまうため、性格変化などの特有の症状が表れます。

ピック病はこの一群に分類される疾患ですが、ピック病になると集団生活ができなくなり、万引きや窃盗など反社会的な行動を起こしてトラブルを引き起こします。「何かができない」というかたちで困難が起こるのではなく、常識からはずれた行動を取ってしまうという問題が起こるのです。

このタイプでは物忘れが目立たないため、すぐには認知症と気づかれないことがあります。認知症全体での割合は少ないですが、60歳代前半までに発症する若年性認知症の中では大きな割合を占めています。