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認知症と認知刺激トレーニング療法

認知症と認知刺激トレーニング療法

認知症の治療

認知症の非薬物療法のひとつに「認知刺激トレーニング療法」があります。認知刺激トレーニング療法では、学習療法や漢字ドリル、コグニサイズ、脳トレなどによって、認知症を予防・改善します。

学習療法

学習療法は、認知症の予防・改善の効果が科学的に証明された非薬物療法です。認知症が脳の機能不全によって引き起こされることから、特に大脳の「前頭前野」を鍛えて、認知機能の改善を図ろうとする療法です。

ちなみに、前頭前野は、大脳の中でも最も大事な場所であり、大脳の約30%をも占めています。前頭前野は、記憶や学習などを制御し、ものを考えたり、判断したりするときに働きます。また、創造性や感情のコントロールも司っています。

その前頭前野機能を維持・改善・向上させるための「学習療法」なのですが、その内容は、単純な読み書き、計算などの記号処理をできるだけ速く行うことであるとか。

この「速く」は、一種のキーワードであり、「できるだけ速く」という意識をもって脳トレに取り組むことによって、脳の回転速度を高めることができる由。

「学習療法」につき、多くの人を対象に生活介入実験を行ったところ、認知能力の改善や伸びが認められた事例を示す結果が出たとのことで、それらの成果は、2005年および2015年に論文として発表されています。認知症の予防・改善の効果が科学的に証明された非薬物療法と言えるでしょう。

全都道府県の介護施設などで普及が進んでいます。

漢字ドリル

聞く・話すという音声言語より、読む・書くという文字言語の方が、脳を多く使い、高次の情報処理を必要とする、と言われています。

日本語には、平仮名・カタカナ・漢字がありますが、なかでも漢字は、平仮名及びカタカナより、高度な脳活動を必要とするとか。よって、漢字の読み・書きを脳トレーニングに取り入れることによって、脳機能の低下を防ぐことができるということになります。

例えば、テレビを見ているときなどは、脳はごくわずかしか働いていないのに、他方、漢字を書いているときには、脳は広範囲に活発に働いているようです。

漢字ドリルには、「日本全国難読地名ドリル」「慣用句ドリル」「ことわざドリル」「花の言葉読みドリル」「二字熟語ドリル」「四字熟語ドリル」など、いろいろなタイプのドリルがあります。

これらのドリルを、短時間でもよいので、毎日繰り返し行うことによって、言語中枢である側頭葉が鍛えられるのみならず、記憶を司る海馬や脳の司令塔である前頭前野など、広範囲の脳を鍛えることが可能になります。

継続することによって、記憶力や読解力を高めて認知症予防に効果を発揮することは確かです。

コグニサイズ

コグニサイズ(cognicise)とは、英語のcognition(認知)と exercise(運動)を組み合わせた造語です。

脳に認知的な負荷がかかるような各種の頭を使う課題(cognition)と、体を動かす各種の運動課題(exercise)を同時に行うことで、脳と体の機能の効果的な向上を狙います。ふたつの動作を同時に行うデュアルタスクの一種です。

国立長寿医療研究センターが開発した認知症予防対策で、運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせて、認知症予防を目的とした取り組みです。

運動の種類によって、コグニステップ、コグニダンス・コグニウォーキング、コグニバイクなど、多様な類似語があります。コグニサイズは、これらを含んだ総称としています。

運動だけでなく、頭を一緒に動かすことで、脳内の記憶を向上させて、学習記憶を司る海馬と呼ばれる機能の萎縮を抑止し、記憶力や集中力の改善を狙いとします。

脳を鍛えるトレーニング(脳トレ)

ポジット・サイエンス社(米国)が、ゲームによる「脳を鍛えるトレーニング(脳トレ)」プログラムを開発し、売り出し中。脳のオンライン認知トレーニングです。頭の回転の速さや注意力を向上させる効果があるとされています。

内容は、以下の6つの項目に分かれています。脳の処理速度や記憶力を高める効果があるとのことです。

  • 注意力
  • 脳の処理速度
  • 記憶力
  • 空間認識力
  • 人付き合い力
  • マルチタスク

ゲームの内容によって、トレーニングする脳の機能が異なるため、には、すべてのゲームに取り組むのがベストとされています。