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睡眠負債と認知症の関係

睡眠負債と認知症の関係

認知症の治療

睡眠負債(sleep debt)という概念があります。スタンフォード大学の教授が提唱した言葉で、日々の睡眠不足が借金のように積み重なり、心身に悪影響を及ぼす恐れがある状態を言います。

睡眠不足は認知症のリスクを高めるとされています。睡眠不足が続くと、脳の神経細胞を破壊してしまいます。睡眠時無呼吸症候群の人は特に注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群が認知症リスクを高める

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)が疑われる人、つまり、不自然にいびきがうるさい人や睡眠時に呼吸が不規則になる人は、「睡眠負債」が積み重なっていき、早い時期に記憶障害や思考の衰退を引き起こすリスクが高いという研究結果が示されています。

睡眠時無呼吸症候群には「持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure:CPAP)」という治療法があります。CPAP治療で、軽度認知障害(MCI)あるいはアルツハイマー型認知症の発症を数年から10年は遅らせることができる由。

家族から「いびきがうるさい」とか「睡眠時にたびたび呼吸が止まることがある」などの注意をうけたら、医療機関で一度相談してみましょう。

睡眠不足が認知機能に与える影響

睡眠不足が続くと、認知症発症の原因物質と目される「アミロイドベータ」が脳に蓄積され、脳の神経細胞を破壊します。

このアミロイドベータを脳に蓄積させないことが大切ですが、そのために、質の良い睡眠が効果的かもしれない、という研究結果があります。睡眠中に、アミロイドベータという脳のゴミが排出されることが突き止められているからです。

毒化したアミロイドベータというゴミの大掃除が行われるのは、睡眠中に限られるとか。不眠のためにこれらの毒素が脳に溜まったままになると、認知機能に害を与えることになるのです。

アミロイドベータは、認知症発症の20~30年前から蓄積すると言われていますが、働き盛りの40代や50代で睡眠不足が続く日々を送った場合、数十年先に認知症のリスクが高まる可能性があります。

「ぐっすり」を自分のものにするにはメラトニン

脳の松果体から分泌されるメラトニンというホルモンがあります。私たちの睡眠と目覚めを調整するホルモンで、「睡眠ホルモン」とも呼ばれています。

光に反応して分泌が調整される性質を持っていて、昼間はほとんど分泌されず、夜は昼間の十数倍の量が分泌されます。また、加齢と共にメラトニン産生能力も低下してきます。

メラトニン産生量を増やすためには、日中、太陽光線を浴びる時間をできるだけ増やし、夜になったら室内の照明を限界まで暗くすることです。そのために、最高の遮光カーテンを使うとか、アイマスクや耳栓を使うとか。定期的に太陽光を浴びるのが難しい場合は、サプリメントを飲んでも良いでしょう。

メラトニンは睡眠薬ではなく、生理的睡眠を回復させるサプリメントで、多くのサプリメントの中でも安全性が高い成分に属します。

ベッドに入る1時間ほど前に、脳が産生したものに匹敵する生理量に該当する0.3-0.5mg服用すると、快眠とすっきりした目覚めが経験できます。

ただし、午前中や昼間に飲むのは控えましょう。また、週に1回はメラトニン「休暇」を取るのがお勧めです。