NOの価値

オンライン診療

もうけっこう前のことになるのですが、 私は、米国東部にある高名な大学付属病院の幹部医師3名を招聘して、 「医療制度改革法が病院経営に及ぼす影響とは?」 というコンファレンスを、ホテルラフォーレ東京(現:東京マリオットホテル) で開催したことがあります。

今でこそ、オンライン診療やデジタル治療(DTx:Digital therapeutics) が、日本の医療界でも普通に取り上げられていますが、 当時は、医療のIT化は、日本の医療界の喫緊の課題となっていたのです。

そのような状況を受けての企画立案でもありました。

一方、米国ではすでに医療IT化がかなり進んでおり、 私が招聘した大学付属医療センターは、 The Digital Hospitalとして、全米のトップクラスに ランクされていました。

ここからが、今回のブログの本題となるのですが、 私は、なぜ、このようなイベントを実行しようとしたのか。

簡単に言ってしまうなら、ヒマだったからです。

製薬企業をクライアントとする薬事申請関連ドキュメンテーション事業が すでに安定飛行に入っており、コンスタントに入る依頼案件については、 会社スタッフがキビキビと捌いて、私自身は、特に介入しなくても、 業務自体は滞りなく動いていました。

私は、その頃、何をやったらいいのか、わからなかった。

考えなければならないこと、やるべきことは たくさんあるような、何も無いような。

そんな心境でした。

そこに、抜群のタイミングで、医療IT化フォーラムの案件が 持ち込まれたのです。

提案を持ってきたのは、日米の医療に係るコンサルを生業とする、 一人の医療系コンサルタント。

その時点で、明確な自分のやるべきことがなく、 心理的にフラフラと浮遊していた私の心は、 この先端的なトピックスに、グラりと傾いてしまったのです。

つまり、YESを出してしまったわけですね。

しかし、このYESの代償は、途方もなく大きかった。

経済的にも、精神的にも、体力的にも。

あることについて、YESということは、他のすべてを捨てる、 ということでもあります。

それから、コンファレンス開催までの3ヶ月間、 私は、本業の仕事をほとんど全く何もすることが できませんでした。

一番、苦労したのが集客です。

諸般の事情でウィークデイ水曜の開催となったわけですが、 ウィークデイの一日、 医師を始めとする医療関係者をコンファレンスに来させることが いかに難しいことであったか。 至難のワザであったことか。

地を這うような過酷な3ヶ月間の営業活動の果てに、 しかし、ほとんど奇跡的に、医療機器のグローバル企業から協賛を得、 150名を超える参加者を獲得することができましたけれども。

小が大を動かしたひとつの例と言えるでしょう。

この苛烈な体験から、私は何を学んだのか。

まず、「NO」の大きな価値です。

ただ、「NO」とキッパリ言うためには、 自分のやりたいことや目標がはっきりと明確になっていなければ ならない。

確固とした強い「YES」が自分の中に在ってこそ、 他のことについて、キッパリと「NO」が言えるのです。

以来、私は、自分自身の心の声に耳を澄ますようになりました。

「確固とした強力なYES」を求めて。

なお、蛇足ながら、先きの医療経営コンファレンスの資料や ビデオは、僅少ながら、残りをまだ保管してございますので、 ご関心がお有りのかたは、以下にご連絡くださいませ。

https://www.medipharm-english.com/mpl/f_inquiry/

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