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認知症とビタミンDの関係

認知症とビタミンDの関係

認知症の治療

ビタミンDは、カルシウムの吸収をよくして骨の健康を維持したり、免疫を強化したりなど、様々な効果が期待されている成分です。近年では認知症との関係についても注目されており、ビタミンDが不足することによって、認知症発症リスクが増える可能性があるという研究結果も発表されています。

今回はビタミンDと認知症の関係や、ビタミンDを摂るためのポイントなどをご紹介します。

ビタミンDとは?

ビタミンDは、一般的に植物性のビタミンD2[エルゴカルシフェロール(ergocalciferol)]と、動物性のビタミンD3[コレカルシフェロール(cholecalciferol)]の2つに大別されます。

太陽光線や食品などから身体に取り入れられるのはビタミンD3です。ビタミンD3は、日光を浴びたり、食事から体内に摂取されたりすると、最初は肝臓で「カルシジオール」になり、最終的に腎臓で活性型ビタミンD「カルシトリオール」となって生体内で活躍します。

「シナプス」と呼ばれる脳内の神経細胞接合装置がありますが、人の脳にある数百億個もの神経細胞を接合する「シナプス」を介して、神経細胞はネットワークを作り、脳の複雑な働きを実現しています。

ビタミンD3は、脳のシナプス生成と維持に不可欠の遺伝子を活性化します。そして、シナプスを支える側を維持するために、ビタミンD3は不可欠なのです。

ビタミンDと認知症の関係

米国神経学会の研究結果によると、ビタミンD値が正常な参加者と比較して、ビタミンD低値である参加者は、認知症発症リスクが53%増大し、重度に不足している参加者は、125%増大していた由。

また、米ラトガース大学大学院の研究者らも、ビタミンDの不足と認知機能低下の促進との関連性に言及しているとのこと。

活性型ビタミンDが「欠乏」「不十分」の不足グループでは、「適正グループ」に比べて、エピソード記憶力(昨日の食事の献立や地震など、自分や社会の出来事に対する経験の記憶)や遂行機能(物事を計画立案して、順序立てて実行する能力)が大きく低下していたと結論づけられています。

他のいろいろな研究でも、ビタミンDの不足と認知機能低下には関連性があるとされています。

冬場はビタミンD不足に注意

前述の通り、ビタミンDは脳のシナプス生成と維持に深くかかわる成分で、ビタミンDが欠乏すると、海馬で生成された新しい神経の成長が妨げられることになります。

例えば、冬季の高緯度地域では、特に高齢者の皮膚でのビタミンD合成効率は低下します。これが、冬場の鬱病を誘引し、ひいては認知症発症リスクに繋がります。

日照時間の短い冬場は、ビタミンDが不足しないように特に注意が必要です。

ビタミンD不足を解消するための対策

ビタミンDが不足しないようにするには、散歩・ウォーキング・ガーデニングなど、なるたけ外気にあたって、太陽の光を浴びるように意識することが大切です。

また食生活においても、ビタミンD3及びD2を多く含む食品を摂取するよう意識しましょう。ビタミンDを多く含む食品には、下記のようなものがあります。

ニシン・サケ・イワシ・カツオなど脂肪分の豊富な魚介類、卵黄、バター、シイタケ・キクラゲ・本しめじなどのきのこ類、アボカド、etc.

なお、ビタミンDは脂溶性なので、不足分をサプリメントで補う場合でも、脂肪分の豊富な食事と一緒に摂ることによって、ビタミンD3やD2を効率よく吸収することができます。

ところで、牛乳や乳製品に含まれるビタミンD3は少量であり、穀類・果物・野菜にはD3は含まれていない、ということは知っておくべきでしょう。

認知機能低下を予防/治療するためのビタミンDの至適用量については、医師のアドバイスを受けることを推奨します。