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ホルモンバランスを調整し、最適化する

ホルモンバランスを調整し、最適化する

認知症の治療

ホルモンバランスの乱れは様々な不調の原因となります。

中でも認知機能と関係が深いとされているのが、「甲状腺ホルモン機能」「コルチゾール」「女性ホルモン」「男性ホルモン」です。認知症リスクを抑えるためには、これらのホルモンバランスを調整し、最適化することが大切です。

甲状腺ホルモン機能

軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)や認知症の場合、一般的に、甲状腺機能が低下しています。そのため、甲状腺ホルモン機能の状態を知ることは必須なのです。甲状腺ホルモン状態は、血液検査によって知ることができます。

注意すべきは、認知症と甲状腺機能低下症の症状が似ているために、血液検査を受けない場合、あるいは採血項目に「甲状腺機能」が入っていない場合に、甲状腺機能低下症が認知症と誤診されてしまうことです。

甲状腺機能低下症の症状としては、行動がのろのろしてきたり、ぼーっとしていることが多くなったり、無表情・意欲喪失・記憶力低下・疲労感・倦怠感などがありますが、これらは、いずれも認知症の初期症状と重なることから、甲状腺機能低下症が認知症と勘違いされてしまうわけです。

甲状腺機能低下症と認知症は、それぞれ処方が異なりますので、処方が混同されるとかえって症状が悪化するリスクが生じます。認知症治療のための最適なホルモン療法を受けることです。

ストレスに関連する「コルチゾール」

「コルチゾール」という副腎皮質から分泌されるホルモンがあります。別名「ストレスホルモン」と呼ばれています。

コルチゾールは過剰なストレスによって多量に分泌されるのですが、その際に、脳の海馬を萎縮させることがわかっています。このため認知機能と、特に記憶力が低下します。

ストレスが高い状態が続くと、身体機能も低下した状態が続き、不安やうつ、頭痛、睡眠障害、記憶力や認知力の低下を招きます。

若い働き盛りのかたの若年性認知症の多くは、この「ストレスホルモン」によるタイプではないかと推察されます。慢性的で解決が容易ではないストレスに悩み、体調不良に陥っているかたは、まずは血液検査を受けてみることを推奨します。

女性ホルモン

アルツハイマー型認知症の場合、とくに女性は男性の2~3倍多く発症することが知られています。

それには女性ホルモンのひとつである「エストロゲン」の分泌量の減少が関係している可能性があります。それと、もうひとつの原因として、脳内で情報を伝達する重要な神経伝達物質である「アセチルコリン」の分泌が弱まることも指摘されています。

エストロゲンは、アセチルコリン神経細胞と結合して、大脳新皮質や海馬でのアセチルコリンの分泌量を増やし、濃度を高める働きをします。しかし、加齢と共に女性ホルモンのエストロゲンがガクンと消失することによって、認知症の発症リスクが高くなってきます。

認知機能低下の予防・回復には、ホルモン値を最適化するためのホルモン補充療法も、一考に値する手段と言えるでしょう。

男性ホルモン

主要な男性ホルモンである「テストステロン」が減ると、認知症になる可能性が高まると言われています。

テストステロンは、脳の神経細胞の生存をサポートしますが、テストステロンを高濃度に保つ必要があります。

食事・運動・睡眠といった生活習慣によって、テストステロン値は大きく変動するので、糖尿病や認知症を防ぐためにも、テストステロン値を最適化するべく、専門医の測定を受けるのがベストです。